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解析力学

【解析力学:放物線上に束縛された運動(1)】ラグランジュ方程式から運動方程式を導く。

こんにちは(@t_kun_kamakiri)(‘◇’)ゞ

先日、名古屋市科学館に行った際に、面白いものを見つけました。

本日のお題

2つの球を初期の高さを変えて同時に静かに離すと、どちらが先に最下端に到達するか?

実際に肉眼で見ると高さ0の位置で両者同じ時間に通過している(?)ように見えたのです。↓こんな感じ。

動画を撮って撮影しましたがよく見ると青い球(初期高さが低い方)が先に最下端に来ているように見えます。

というわけで、Twitterでアンケートを取りました。

アンケート結果は、初期高さが違っても到達する時間は両者同じという方が大半ですね。

カマキリ

で、実際にはどうなの?

実際はどうなっているのか理論で説明できるのかを考えたいと思います。

ここにボックスタイトルを入力
  • 球は質点とみなす
  • 空気抵抗は考えない
  • 摩擦もなし
  • 放物線y=12x2上を運動

本記事を読むにあたって解析力学の初歩的な知識は前提となります。

ラグランジュ方程式と束縛条件

球体の時刻歴を知るためには運動方程式を導く必要があります。

一般的に独立変数として座標x,yとして考えますが、今回は球は放物線上を運動するためx,yは互いに独立ではない変数となります。そのため、その拘束力も考慮した運動方程式を考える必要があります。

この拘束力を考えるのが厄介なので、以下のラグランジアンと束縛条件からxに対する運動方程式を立てることを考えます。

ラグランジアン

L=TU

  • 運動エネルギー:T=12m(˙x2+˙y2)
  • ポテンシャルエネルギー:U=mgy
  • 束縛条件:y=12x2

放物線をy=12x2として12の係数を付けて考えるのは、最終的な式の形がシンプルになるためです。

今回のようにx,yは独立ではなくh(x,y)=12x2+y=0のような拘束条件をホロノミックな拘束条件といいます。
また、このような系をホロノーム系といいます。

x,yは独立ではなく束縛条件によりyの動きはxによって規制されているので、どちらか片方の変数だけを考えれば良く、本記事では考えやすいxを変数として運動方程式を導出します。

オイラーラグランジュ方程式から運動方程式を導出

y=12x2から˙y=dydt=dydxdxdt=x˙xとなり、ポテンシャルエネルギーはU=mgy=12mgx2となります。

よって、ラグランジアンは、

L=TU=12m(˙x2+(x2˙x2))12mgx2=12m(1+x2)˙x212mgx2

オイラーラグランジュddtL˙x=Lxから運動方程式を導出するにあたって以下を計算しておきます。

  • L˙x=m(1+x2)˙x
  • ddtL˙x=2mx˙x+m(1+x2)¨x
  • Lx=mx˙x2mgx

よって、オイラーラグランジュddtL˙x=Lxより、

2mx˙x+m(1+x2)¨x=mx˙x2mgx(1+x2)¨x=x˙x2gx

運動方程式を導くことができました。

カマキリ

思ったより運動方程式が難しいですね・・・

ここまで来たら解析解を導きたいですが、どうやら楕円積分など導入する必要があり解が簡単に出てきそうにありません。

次回は、ひとまず運動方程式を以下の形にして数値計算により結論を得たいと思います。

¨x=x1+x2˙x2g1+x2x

時間積分は4次のルンゲクッタを用いて解きます。

次回、お楽しみに(‘ω’)ノ

まとめ

今回は放物線上を運動する球はどちらの高さが先に最下端に到達するのかを考えました。

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