僕の熱力学の印象
熱力学という学問は物理の中でも”個人的”にとても曖昧な学問のように感じています。
理由は、元の原理がなんなのかよくわからないからです。
力学であれば、ニュートンの第三法則
第一法則:慣性の法則
第二法則:運動方程式(\(m\bf{a}=0\))
第三法則:作用反作用
流体力学であれば、ナヴィエ・ストークス方程式とその他の基礎式
質量保存則
\begin{align*}
\frac {\partial \rho }{\partial t}+\frac{\partial \rho v_{j}}{\partial x_{j}}=0\end{align*}
運動量保存則(ナヴィエ・ストークス方程式)
\begin{align*}
\frac{\partial \rho v_{i}}{\partial t}+\frac{\rho v_{i}v_{j}}{\partial x_{j}}=\frac{\partial \sigma_{ij}}{\partial x_{j}}+\rho K_{i}\end{align*}
エネルギーの保存則
\begin{align*}
\frac{\partial \rho E}{\partial t}+\frac{\partial \rho E}{\partial x_{j}}=-\frac{\partial q_{j}}{\partial x_{j}}+\frac{\partial \sigma_{ij}v_{j}}{\partial x_{j}}+\rho K_{j}v_{j}\end{align*}
\(E=e+\frac{1}{2}\boldsymbol{v}^2\)
e:内部エネルギー
熱力学の状態方程式
\(f(P,T,\rho)=0\)
電磁気学であれば、マクスウェルの方程式
\begin{align*}
\nabla\cdot \bf{B}=0\end{align*}
\begin{align*}
\nabla\times \bf{E}+\frac{\partial \bf{B}}{\partial t}=0\end{align*}
\begin{align*}
\nabla\cdot\bf{D}=\rho\end{align*}
\begin{align*}
\nabla\times \bf{H}-\frac{\partial D}{\partial t}=\bf{j}\end{align*}
量子力学であれば、シュレディンガー方程式
\begin{align*}
i\hbar\frac{\partial \psi(\bf{r},t)}{\partial t}=-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2\psi(\bf{r},t)+V(\bf{r})\psi(\bf{r},t)\end{align*}
相対性理論であれば、重力場の方程式
\begin{align*}
G^{\mu\nu}=\frac{8\pi G}{c^4}T^{\mu\nu}\end{align*}
相対論的な量子力学なら・・・・クラインゴルドン方程式とか・・・
(あまり詳しくないが・・)
と、このように現象に対して解くべき方程式が用意されています。
要するに上の偏微分方程式を解けば時々刻々と変化する現象を理解することができるのですよね。
それが熱力学ときたら?
急に「熱力学第一法則」だとか言い出して、
\begin{align*}
dQ=dU+pdV・・・(1)\end{align*}
これは熱力学という学問にとらわれず広い意味で「エネルギー保存則」を意味しています。
こんな感じで、いきなり全微分の変化量として法則を定義しています。
上の偏微分方程式と違って解きたくても具体的な形がないから解けないのです。
これは歴史的に、経験則に基づいて構築した理論だから仕方が無いので、(1)を認めるとして永遠にこの全微分と偏微分のまま式変形を繰り広げていきます。
数学が苦手な人は、まー慣れるのに時間がかかります(´・ω・`)
しかし、原子などのミクロな状態を記述する理論がなかった昔から実現象を理解するのに熱力学が成功しているというのはある意味驚くところです。
「熱力学第一法則」は認めるとして、↓下記の記事に「(1)式の熱力学第一法則」と馴染みのある「状態方程式」を使って現象を整理したいと思います。
流体力学ならナヴィエストークス方程式、って書いたら?
こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。
そうですね。ナヴィエストークス方程式も力学のニュートンの第二法則ではありますが、熱力学第一法則がいかに唐突に出てきているのか印象付けるために書いておきたいと思います。
コメントありがとうございます。