計算力学技術者試験

【キャビティ流れ】流線を可視化

こんにちは(@t_kun_kamakiri)

本日は「計算力学技術者試験の熱流体2級」のポスト処理の章に出てくる問題からキャビティ流れを紹介します。

こんな感じの絵ですね。
どこかで見たことがあるかもしれません。

熱流体の2級か1級でもキャビティ流れの正しい絵(流速コンター、流線など)を選択させる問題が出てきます。

これから計算力学技術者の熱流体を勉強する方を対象に問題を通して理解をしていければと思います。

こんな方が対象
  • 計算力学技術者試験の熱流体2級を勉強している方
  • キャビティ流れのコンター図を確認したい方

キャビティ流れは非常に有名な数値解析のベンチマークテストであるため、既にいっぱい記事が存在します。
その中でもGhiaらの解析結果※の流速分布と比較している以下の記事を紹介しますので、あわせてご確認ください。

では、問題です。

問題

キャビティ流れの非圧縮性定常2次元流れを行い、結果の流線を示した結果はどのようになるか?

問題の解説は本記事に書いています。
解答はまとめに書いています。

キャビティ流れとは

キャビティ流れは川底にあるくぼみにできる流れを指します。
奥行方向は一様として、断面を切り取って流れを観察すると絵のように渦巻きが発生しています。

以下でキャビティ流れの数値解析の結果を載せますので、しっかりと目に焼き付けておきましょう。

流線(文献)

流線は流速ベクトルをつないで作った線です。
流速ベクトルは、非定常解析の場合は時々刻々と変化するので流線はある時刻での流線は流速ベクトルをつないで作った線という意味になります。

ゆえに、定常解析での流線は質量がない粒子が乗った場合の軌跡とも解釈できます。

流れの様子はレイノルズ数によって変わることがわかっています。

右下に一番大きな渦があり、レイノルズ数が10000の場合は渦が2つになっています。
左下にも同様に大きな渦があります。レイノルズ数が大きくなるにつれて渦も大きくなってきます。
レイノルズ数が小さいときには左上には渦はありませんが、レイノルズ数が大きくなると渦が出現するするようになります。

流線(OpenFOAM)

では今度はOpenFOAMを使って2種類の格子数(128×128×1と256×256×1)でシミュレーションしてみました。

ここで、上面の流速は1[m/s]、特徴的な長さは1[m]です。

レイノルズ数$Re=\frac{UL}{\nu}$を変えてシミュレーションするために動粘性係数$\nu$を変化しました。

$Re$$\nu$grid 1
$n_x\times n_y \times n_z$
grid 2
$n_x\times n_y \times n_z$
1000.01128×128×1256×256×1
4000.0025128×128×1256×256×1
10000.001128×128×1256×256×1
32000.000313128×128×1256×256×1
50000.0002128×128×1256×256×1
100000.0001128×128×1256×256×1

結果は以下のようになります。

格子数128×128×1

格子数256×256×1

結果は論文にあるような結果になりました。
次回は、もう少し定量的な比較として流速分布の比較を行います。

まとめ

問題

キャビティ流れの非圧縮性定常2次元流れを行い、結果の流線を示した結果はどのようになるか?

流れの様子はレイノルズ数によって変化します。

解答

格子数256×256×1

右下に一番大きな渦があり、レイノルズ数が10000の場合は渦が2つになっています。
左下にも同様に大きな渦があります。レイノルズ数が大きくなるにつれて渦も大きくなってきます。
レイノルズ数が小さいときには左上には渦はありませんが、レイノルズ数が大きくなると渦が出現するするようになります。

数値解析はオープンソースの流体解析OpenFOAMを使っています。
OpenFOAMをインストールするとチュートリアルが多くあり、その中でも1番最初に取り組むであろう解析が本記事で紹介したキャビティ流れです。
チュートリアルの実行は動画を参考にして、興味が出たらぜひOpenFOAMをインストールしてみてください。

また結果のモデルを確認することもできます。

Re10000(格子数256×256×1)

計算力学技術者のための問題アプリ

計算力学技術者熱流体2級対策アプリをリリースしました。

  • 下記をクリックしてホームページでダウンロードできます。
  • LINE公式に登録すると無料で問題の一部を閲覧できます
    ※LINEの仕様で数式がずれていますが、アプリでは問題ありません。

お勧めの参考書

数値解析の妥当性確認はプログラムを作成してみるか、ソフトを使って実際に手を動かしてみるのが良いでしょう。
プログラムを作成するのは少々しんどいという方には、OpenFOAMがお勧めです。
大学の研究室や企業でも使われている無償のオープンソースです。
使いこなすには勉強が必要ですが、無償とは思えないほど色々な機能があります。

☟こちらは、OpenFOAMの日本語書籍が無い中唯一わかりやすい参考書だと思います。

OpenFOAMによる熱移動と流れの数値解析(第2版)

OpenFOAMによる熱移動と流れの数値解析(第2版)

3,520円(04/28 10:31時点)
Amazonの情報を掲載しています

☟こちらもOpenFOMの古いバージョンでの和訳になります。さすがにこちらはバージョンに対する日本語でのケアはしていないので、OpenFOAMに慣れている方は購入しても良いかと思います。僕は「日本語でまとまっている内容」なので少し重宝しています。

OpenFOAMプログラミング

OpenFOAMプログラミング

Mari´c,Tomislav, H¨opken,Jens, Mooney,Kyle
8,250円(04/28 20:49時点)
Amazonの情報を掲載しています

☟以下に、もっと初心者向けの同人誌を紹介しておきます。
初心者は「ってか、まずどうやってOpenFOAMをインストールするの?」というところからつまずきがちです。
そんな時は、以下の書籍をおすすめします。

改訂新版 OpenFOAMの歩き方 (技術の泉シリーズ(NextPublishing))

改訂新版 OpenFOAMの歩き方 (技術の泉シリーズ(NextPublishing))

川畑 真一
1,320円(04/28 18:48時点)
発売日: 2022/04/15
Amazonの情報を掲載しています

インストール方法とチュートリアルで流体解析を体験・・・ちょっと高度な解析まで解説があります。著者曰くOpenFOAMのバージョンの追跡を行いながら、書籍をアップデートするようなので安心ですね。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です