計算力学技術者試験

【計算力学熱流体2級の問題】解析条件からどの流線パターンになるか?

こんにちは(@t_kun_kamakiri)

本日は「計算力学技術者試験の熱流体2級」のポスト処理の章に出てくる問題から解析結果を読み取る感覚があるかどうかの問題を紹介します。

熱流体の2級か1級でも解析結果の正しい絵(流速コンター、流線など)を選択させる問題が出てきます。

これから計算力学技術者の熱流体を勉強する方を対象に問題を通して理解をしていければと思います。

こんな方が対象
  • 計算力学技術者試験の熱流体2級を勉強している方
  • 解析結果の見方などを学びたい方

では、問題です。

問題

以下の2次元の解析モデルを等温度の非圧縮流れの定常解析を行い静圧分布と流速分布が得られた場合、流線はどのようになるでしょうか?

一番左に流線を描いてみてください。

問題の解説は本記事に書いています。
解答はまとめに書いています。

OpenFOAMv-2312
ParaView 5.12.0

流線とは

そもそも流線が何なのかを知っていなければ答えることができないと思いますので、まずは流線について解説をします。

流線

ある瞬間における流速ベクトルを滑らかに結んだ線のこと。

なので、流線は流速ベクトルを想像できるかどうかがカギになります。

例えば、今回の流速ベクトルは以下のようになっています。

流速ベクトル

この流速ベクトルを線で結ぶと・・・

流線

このようになります。
対角線上を通るベクトルだけを拾って流線を描いているので、ところどころ流速ベクトルを拾えていませんが、主要な流線としては大きな2つの渦を描くことができていればOKです。

ピンクのように逆の対角線を通る流線を描くと以下のようになります。

流線

ピンクの流線は細かい渦もとらえることができています。

流れの分析

では、どのように考えて流速ベクトルを描き、流線を予想するのかを考えていきます。

  1. 流れは基本的に高圧から低圧に向かうというところから、流れ境界1から流れ境界3への流れが最も大きいと言えるでしょう。
  2. 流速分布を見ると、流れ境界1から流れ境界3が最も顕著に見えており、流れ境界2と4にも流れが向かっているのがわかります。(流入量と流出量は等しい)
  3. 静圧分布を見ると、低圧領域ができている箇所が2か所あり、渦の中心であることが予想できます。

以上を考えると、流線は以下のようになるでしょう。

解析の結果から各境界の流量も出力してみました。

正の値が流出、負の値が流入を表しています。流れ境界1は流入、その他は流出しているいうことが確認できます。

今回は定常解析の1000step目の結果を可視化の問題に使いましたが、流量を確認すると1000step目ではまだ計算が落ち着いていないように見えますね。

細かい渦ができるような流れの場合、実際は定常で落ち着いているということはないので非定常の解析が必要なのかもしれませんが、おおまかな流れを見たい場合には計算コストが小さい定常解析を良く行います。
非定常の解析を無理やり定常解析をすると、各ステップで微妙に流れが異なる場合があります。

考察に変わりがないなら落ち着いていなくても使える結果と考えても良いでしょう。

しかし、最低限以下は確認しておくこと。

  • 残差を確認
  • 流量を確認
  • アニメーションで各stepを確認

これらが収束しているかを必ず確認するようにしましょう。

まとめ

問題

以下の2次元の解析モデルを等温度の非圧縮流れの定常解析を行い静圧分布と流速分布が得られた場合、流線はどのようになるでしょうか?

一番左に流線を描いてみてください。

実際に流体解析を行って流線を描いてみました。
流体解析はOpenFOAMを使っています。

解答

各ステップをアニメーションにするとこのようになります。

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