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熱力学第一法則と理想気体を連立させる

2019/01/20
 
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本記事の内容
熱力学第一法則と理想気体の状態方程式を使って問題が解けるというのを解説します。

 

熱力学の第一法則


\begin{align*}dQ=dU+pdV\end{align*}

はご存知の方も多いでしょう。

しかし、こう思うのです・・・・・

「こんなの知っていてだから何なんだ」ってね。

 

そこで本記事では「熱力学の第一法則」と「理想気体の状態方程式」を連立されることで、内部状態\(p\),\(V\),\(T\)などが求まるっていうことを紹介したいと思います。

 

※ここでの議論は理想気体の状態方程式に基づいているということを常に意識しておきましょう。

 


完全に余談

※\(dQ=dU+pdV\)は教科書では「状態量」と「状態量でないもの」を区別するために「’(プライム)」をつけて区別する場合があります。

例えば、\({d}’Q=dU+{d}’W\)などと書き、「’(プライム)を付けたものは」状態量ではないということを明記することがあります。

しかし、ブログを書くにあたって”今は”自明と(勝手に)しておいて、「’(プライム)」はつけないものとします。

「’(プライム)」を書くと記事を書くのが面倒だからというとても単純な理由からです(笑)

ご了承ください。


 

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熱力学第一法則と理想気体を連立させるとは?

 

以下に示していきますが、結論は


\begin{align*}dQ=dU+pdV\cdot\cdot\cdot (1)
\end{align*}


\begin{align*}p=(\gamma-1)\frac{U}{V}\cdot\cdot\cdot (14)
\end{align*}

のように、(1)(14)式を連立させると、ある平衡状態から別の平衡状態を記述する理論が構築できるのです。

 

理想気体の場合、内部エネルギー\(U\)は体積に依存しない

 

 

熱力学第一法則


\begin{align*}dQ=dU+pdV\cdot\cdot\cdot (1)
\end{align*}

に対して、\(T\)を固定して、\(V\)で偏微分することを考える。

ここで、エントロピー\(S\)を導入すると、\(dQ=TdS\)なので、

(1)式は、

\begin{align*}T\bigg(\frac{\partial S}{\partial V}\bigg)_{T}=\bigg(\frac{\partial U}{\partial V}\bigg)_{T}+p\cdot\cdot\cdot (2)
\end{align*}

となる。

 

ここで、マクスウェルの関係式を使います。

マクスウェルの関係式のうち、今回使うのは、

\begin{align*}\bigg(\frac{\partial S}{\partial V}\bigg)_{T}=\bigg(\frac{\partial P}{\partial T}\bigg)_{V}\cdot\cdot\cdot (3)\end{align*}

これを(2)式の左辺に適用すると、(2)式は、


\begin{align*}T(\frac{\partial P}{\partial T})_{V}=(\frac{\partial U}{\partial V})_{T}+p\cdot\cdot\cdot (4)
\end{align*}



\begin{align*}\bigg(\frac{\partial U}{\partial V}\bigg)_{T}=T\bigg(\frac{\partial P}{\partial T}\bigg)_{V}-p\cdot\cdot\cdot (5)\end{align*}

さてここで、理想気体の状態方程式


\begin{align*}pV=nRT
\end{align*}

を用いると、(5)式の右辺は消えてしまいます。

よって、

\begin{align*}\bigg(\frac{\partial U}{\partial V}\bigg)_{T}=0\cdot\cdot\cdot (6)\end{align*}

が証明できました。

ここで、

「理想気体を考えている条件下では、内部エネルギー\(U(T,V)\)は\(V\)に依存しないのか(‘_’)ならば、\(\frac{dU}{dV}=0\)」か?

 

良く見てほしいが、温度\(T\)が一定下であれば(6)式が成立するということしか言っていませんが、少し気になりますね。

何が言いたいのかというと、本来は\(\frac{dU}{dV}\)と\(\frac{\partial U}{\partial V}\)とは意味が違うのです。

↓全微分と偏微分の違いはこちらを参考にしてください。

>>【解析学】全微分と偏微分の違いを視覚的に理解しておく

まあ、でもきっと\(\frac{dU}{dV}\)は0になるんでしょうね。


\begin{align*}\frac{dU}{dV}=\bigg(\frac{\partial U}{\partial V}\bigg)_{T}\frac{dV}{dV}+\bigg(\frac{\partial U}{\partial T}\bigg)_{V}\frac{dT}{dV}
\end{align*}



\begin{align*}\frac{dU}{dV}=\bigg(\frac{\partial U}{\partial V}\bigg)_{T}+\bigg(\frac{\partial U}{\partial T}\bigg)_{V}\frac{dT}{dV}
\end{align*}

(6)式によって、第一項は消えます。


\begin{align*}\frac{dU}{dV}=\bigg(\frac{\partial U}{\partial T}\bigg)_{V}\frac{dT}{dV}
\end{align*}

このようにして、「\(\frac{dU}{dV}\)自体は0ではなさそうです」が、\(U(T)\)として、\(\frac{dU}{dV}\)を考えた時とまったく同じではないですか。

ゆえに、内部エネルギー\(U(T,V)\)は、体積\(V\)に依存しないと言えるでしょう。

さらに、(6)式で言えることというのは、

\((\frac{\partial U}{\partial T})_{V}\)が何か温度に依存したものに書けそうだということがわかっただけなのである。

それが、

\(\big(\frac{\partial U}{\partial T}\big)_{V}=nC_{v}=C_{v}\)(1モルで考えるなら)

と置けることができて、定積比熱\(C_{v}\)と書けるのです。

後述していますが、定積比熱\(C_{v}\)や定圧比熱\(C_{p}\)は温度依存性があるのです。
※「温度依存性があってもおかしくない」という言い方が正しいかもしれない。

 

これらのことを別の解釈では、「内部エネルギー\(U\)が体積関係なくと言いつつ、温度\(T\)が一定下であれば」という条件は、「体積は関係ないけど、温度は一定にしてほしい」と言っているのと同じです。

それは「圧力一定の条件下」と同じことを言っていますね。

そこで、次のことに気づくはずです・・・・

「ということは、圧力一定で考えた(5)式に定積比熱\(C_{v}\)を登場させることが可能ではないか」と・・・

 

では比熱の定義をもう一度書いておきましょう。

定積比熱と定圧比熱の定義


\begin{align*}nC_{p}=\bigg(\frac{\partial U}{\partial T}\bigg)_{V}+\bigg(\bigg(\frac{\partial U}{\partial V}\bigg)_{T}+p\bigg)\bigg(\frac{\partial V}{\partial T}\bigg)_{P}\cdot\cdot\cdot (7)
\end{align*}

この式の第1項に定積比熱の定義式を代入します。


\begin{align*}\bigg(\frac{\partial U}{\partial T}\bigg)_{V}=nC_{v}\cdot\cdot\cdot (8)\end{align*}

 

さらに、(15)式の第二項の\((\frac{\partial U}{\partial V})_{T}\)は、理想気体を考えている場合は、0になることが(16)式で示したのでした。

そして、理想気体の条件下では、(5)式は下記のようにとても簡単に書くことができます。


\begin{align*}nC_{p}=nC_{v}+p\bigg(\frac{\partial V}{\partial T}\bigg)_{P}\cdot\cdot\cdot (9)
\end{align*}

 

ここで・・・


\begin{align*}pV=nRT
\end{align*}

を使うと、(21)式は・・・


\begin{align*}nC_{p}=nC_{v}+nR
\end{align*}



\begin{align*}C_{p}=C_{v}+R\cdot\cdot\cdot (10)
\end{align*}

と書ける。

この(10)式を「マイヤーの関係式」と呼ぶ。

 

理想気体の状態方程式を定積比熱を用いて表現してみる

 

理想気体の状態方程式\(pV=nRT\)を定積比熱\(C_{v}\)を用いて表現することを考えます。
定積比熱は、
\((\frac{\partial U}{\partial T})_{V}=nC_{v}\cdot\cdot\cdot (1)\)
のように書けるので、\(pV=nRT\)と内部エネルギー\(U\)の関係が分かりそうです。

まず比熱比というものを定義します。
比熱比:\(\gamma=\frac{C_{p}}{C_{v}}\)
そうすると、(10)式のマイヤーの関係式より、


\begin{align*}R=C_{v}\bigg(\frac{C_{p}}{C_{v}}-1\bigg)=C_{v}(\gamma -1)\cdot\cdot\cdot (11)
\end{align*}

これを、理想気体の状態方程式\(pV=nRT\)に代入してみます。


\begin{align*}p=(\gamma-1)\frac{nC_{v}T}{V}\cdot\cdot\cdot (12)
\end{align*}

さらに(10)式を積分すると、

\begin{align*}U=\int nC_{v}dT\cdot\cdot\cdot (13)
\end{align*}

となります。

ここで、比熱の温度依存性がないとした場合は、

\begin{align*}U=nC_{v}T\cdot\cdot\cdot (14)
\end{align*}

となるため、(12)式に代入することで下記のように「圧力」と「内部エネルギー}の関係式を得ることができました。

\begin{align*}p=(\gamma-1)\frac{U}{V}\cdot\cdot\cdot (14)
\end{align*}

そうすると、理想気体の状態方程式は単純に「圧力」「温度」「体積(密度)」などの熱力学的変数による関係式、いわゆる内部状態を表現しているだけに過ぎませんでしたが、そこに熱力学第一法則というエネルギー保存則を加えることで、力学的な理論へと発展していくことができます。
力学的な理論とは熱力学一法則\(dQ=dU+pdV\)の\(pdV\)の部分です。
熱力学的な圧力と力学的な圧力は(あまり深くは議論しないが)同じであることがわかっています。

要するに、

\begin{align*}dQ=dU+pdV\cdot\cdot\cdot (1)
\end{align*}


\begin{align*}p=(\gamma-1)\frac{U}{V}\cdot\cdot\cdot (14)
\end{align*}

このふたつを連立させると、ある平衡状態から別の平衡状態を記述する理論が構築できるのです。

 

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