OpenFOAM

【回転するバスケットボールまわりの流れ(5)】OpenFOAM球体周りの抗力係数が文献値と合わない原因

こんにちは(@t_kun_kamakiri)(‘◇’)ゞ

本記事ではOpenFOAMのバスケットボールまわりの流体解析を行う下準備のための記事です

前回行った解析モデルでは球体周りの抗力係数が文献値$Cd=0.44$ではなく、$0.25$と小さい値になってしまいました。
レイノルズ数:$Re=\frac{Ud}{\nu}=\frac{1.0*0.128}{1.5e-5}=8,533$なので乱流状態です。

乱流状態だと抗力係数は一定値0.44になるということです。

今回の記事では抗力係数が文献値と近くなるようにモデル修正したので紹介します。

本記事の内容

球体の抗力係数が文献値と合わない原因を特定するために以下を試しました。

  1. 解析領域を広げる
  2. cyclicAMIをやめる
  3. 球体周りのメッシュサイズを細かくする

結論「球体周りのメッシュサイズを細かくする」ことで文献値と近くなりました。

本記事の内容は下記の参考記事のモデル作成です。

OpenFOAMv2012(WSL2)

000_case:解析領域を広げる

球体後方の解析領域を広げてみます。
モデルの作り直し・outletの面をそのまま押し出してメッシュを作成する方法を使います。

system/extrudeMeshDict

以下のコマンドを実行します。

しかし、結果は抗力係数Cd=0.22と文献値と合わないのには変わりありませんでした。

縦軸のスケールを変えるとこんな感じ。


解析領域を広くしないと流出面で逆流が発生しそうなので、解析領域を広くした方がよさそうですが、抗力係数の精度は上がりませんでした。

002_case:cyclicAMIを使わない

innerとouterの境界面の節点はつながっておらずcyclicAMIとしているのが今回の解析でした。

抗力係数に対して悪さしていないか確認するために、cyclicAMIを使わない解析を行いました。
innerとouterを別々でメッシュ作成するのをやめて、innterは使わずにouterのみを使いinnerとouterの境界面を球体のサイズにするようにしました。
つまりメッシュはinnerとouterの境界でつながっているという設定です。

結果は800~1000stepの平均抗力係数0.25でした。

改善につながらず・・・

y-z方向の解析領域を狭くする(4m→2m)

球体周りの解析領域を広げるために上下左右(y、z方向)の領域を大きくとったことによって、球体周りのメッシュサイズが大きめになっていることが、抗力係数を小さく出てしまう原因かと考え、試しに解析領域を狭くしてみます。

y,z方向の分割数が同じで領域を狭くするとメッシュサイズは必然的に小さくなるため球体周りは以下のようなメッシュに変更します。

抗力係数Cd=0.274と文献値Cd=0.44に近くなりました。

y-z方向の解析領域を狭くする(4m→1m)

さらにy,z方向の解析領域を半分にして球体周りのメッシュサイズを小さくするようにします。


この場合の抗力係数はCd=0.45となり、文献値とかなり近くなりました。

ここでわかったことは球体周りのメッシュサイズは細かくしないと抗力係数が文献値と合わない結果になるということです。さすがに球体と解析領域の端が近づいてきたので、やりすぎかもしれないです。

球体周りのメッシュサイズを小さくするのであれば、球体周りの分割の割合を小さくすれば良いので以下で試してみます。
また、cyclicAMIの設定が抗力係数が文献値と合わない原因ではなさそうなので、innerとouterは再度cyclicAMIを使った境界条件に戻します。

003_case:outer周りのメッシュサイズの変更

cyclicAMIを使うとinnerとouterのメッシュサイズが合っていなくても解析を実行できます。まずは、outerだけを分割の割合を変えてみます。

system/blockMesh

outerだけを細かくしているので球体周りのメッシュサイズは大きいままです。outerとinnerの節点はつながっていなくても境界面は互いにcyclicAMIなので解析は問題なくできます。

これで抗力係数を見てみましょう・・・おそらく文献値と合わないでしょう。

結果は抗力係数Cd=0.23でした。

004_case:球体周りのメッシュサイズの変更

outerだけを分割の割合を変えても抗力係数は文献値と合わないので、今度はouterはそのままの設定で球体周りだけを分割割合を変更してみます。

抗力係数0.449となりました。

005_case:outerと球体周りのメッシュサイズの変更

004_caseではouterとinnerの境界のメッシュサイズが異なるので、005_caseで同じにします。

結果は抗力係数Cd=0.45でした。

innerからouterへの境目でメッシュが不均一すぎるし、解析領域も狭すぎると思うのでまだまだ改善は必要ですね。

006_case:球体周りのメッシュ修正+解析領域を広げる

innerとouterまわりの分割割合を調整して境目がわからないようにしました。

またextrudeMeshで解析領域を広げました。

球体周りだけメッシュが細かいという変な感じになりましたが、抗力係数0.45でした。

球体周りの抗力係数としては文献値と近くなったので、ひとまずこれをベースにしてバスケットボールまわりの流れの解析に移りたいと思います。
今回は球体周りで行ったのですが、次回これをバスケットボールの形状にフィットするようにメッシュを変形させます。

まとめ

今回はバスケットボールのまわりの下準備のため球体まわりの流体解析を行いました。
メッシュ生成は前回までの記事でblockMeshで作成し全てのメッシュを6面体メッシュで作りました。

前回、球体まわりの抗力係数は文献値のCd=0.44になりませんでしたが、球体周りのメッシュサイズを小さくすることで文献値と合うようになりました。

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今回の記事はこちらの著者の方からモデル提供をいただきモデル作成の解説を行いました。
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