こんにちは(@t_kun_kamakiri)(‘◇’)ゞ
本日の記事では、熱力学のおすすめ参考書4選ということで、僕が熱力学を学ぶ際にとても重宝している多くの参考書から4つ選択したので紹介したいと思います。
僕は、理学部の物理学科で卒業(修士課程修了後は就職)してからも、仕事上で熱力学の知識を使うことが多いので今でも熱力学は日々勉強しています。
☟こちらの記事にも熱力学に関する記事をたくさん書いているので、是非お読みください_(._.)_
ところで、熱力学って大学習ったときに難しく感じませんでしたかね?
こう思った人めちゃくちゃ多いと思います。
そこで、この記事はこんな人向けに書いています。
- 初心者が熱力学を読むならどの参考書を選べばいいのか?
- 熱力学の単位をどうしてもとりたい!
- 熱力学をもっと深く勉強したい!
ところで、どうして熱力学はよくわからない学問だなと感じるんでしょうかね?
たぶん、熱力学の参考書は、「これはこういうもんだから、この公式でも使っておく」という場面にめちゃくちゃ出くわしますからではないでしょうか。
なんでかというと、
- 「熱力学は、熱平衡状態から別の熱平衡状態を少数の熱力学状態量(圧力、温度など)で記述するもの」であり、
- 「何を要請して(何を決めごとにして)、そこから何を得るのか」
という、ある意味経験則から成り立っている一面がかなり出ている学問なのです。
工業の発展とともに確立された学問であるので仕方がない・・・
この経験則というのがとても曲者です。
だから、「とりあえずは全体像を学ぶ」⇒「深く理解する」というステップに素早く移る必要があるんですよね。
ゆえに、この記事は僕がお勧めする熱力学の参考書の選び方の基準として、以下の2つを持てばよいと考えています。
- 「意味はわからないけど、そういうものか」と、とりあえず熱力学を体験してみる参考書
- 意味を考えながら、且つ何を要請して何を得られるか。熱力学を深く学ぶ参考書
この2点を評価基準にして、熱力学の参考書を選んでいきました(^^)/
選んだ4冊の「時間ー難易度」マッピングにすると以下のようになります(個人的主観です)
是非、参考にしてみてください。
それでは、なぜイチオシの4冊かを説明しましょう(^^)/
「意味はわからないけど、そういうものかと」と、とりあえず熱力学を体験してみる参考書
何事においても初めて学ぶ学問は、全体像を把握するためにできるだけ易しめで、且つ量も多くない参考書から学ぶのが良いでしょう。
というわけで、おススメの参考書を2つ用意しました。
1.マセマの熱力学
大学の講義で熱力学を学んでいるけど、全くついていけないという人は、ひとまずマセマの熱力学を推薦図書として挙げます!
マセマの参考書は熱力学に限らず、大学の数学やその他の物理のわかりやすい参考書が多くあります。
もともと予備校講師の方が執筆しているため、わかりやすいと評判の高校数学の参考書が多かったのですが、2010年あたりから大学物理の参考書も出てきて、僕はこのマセマシリーズにとても助けられました。
大学の単位くらいだったら、正直マセマだけで乗り切れる部分は多いです。
ちなみに☟「マセマ熱力学演習書」もあります。
こちらの演習書は大学院入試の勉強にも使えます!
しかし、あくまで大学院入試のはじめの勉強には使えますが、絶対自身の大学院進学予定の過去問を解きながら勉強を進めてください。
2.三宅:熱力学
続いて、比較的内容の易しい熱力学の参考書として「三宅氏の熱力学」をお勧めします。
個人的には、工学部よりの教科書なのかなという部分がありましたが、物理にありがちな「結局何言ってるのかわからない」言い回しはあまりない印象でした。
はじめて熱力学を学ぶ人で、大学向けの参考書としてはこちらの参考書をお勧めします。
意味を考えながら、且つ何を要請して何を得られるか。熱力学を深く学ぶ参考書
ここからが正直内容的にも難しい参考書ですが、ある程度熱力学に慣れている人にとっては、「熱力学すげー」って思える参考書です。
以下で紹介する「田崎氏の熱力学」と「清水氏の熱力学」の2冊は王道でしょう!
この本のどちらにも「熱力学、間にどんな非平衡な状態があっても、熱平衡状態から別の熱平衡状態への記述ができる」的なことが書かれていて、どれだけ熱力学が素晴らしい学問であるのかを感じさせてくれました。
このことから、熱力学は量子力学が登場するより前の学問であるのに、「量子力学によって変更を受けなかった学問である」というのはすごい事ですよね。
熱力学だけでなく、流体力学を深く学ばなければならない人は、
この2冊は読破しておいた方が良いでしょう!という2冊です。
3.田崎氏の熱力学
本の前書きにも書いてあるように、著者が熱力学を一から再構築する思い出書き下ろした1冊となります。
それゆえ、他の熱力学の参考書とはじゃっかん話の進め方が違います。
はじめて熱力学を学ぶ人にとってはちょっと混乱するのではないかと思っています・・・・が、熱力学の全体を一度学んだ人にとっては、すごくロジカルに話が進んでいくのがわかります。
この本を読んだときに「熱力学すげー(/・ω・)/」を体験しました。
4.清水氏の熱力学
緑の参考書が印象的な参考書です。
この参考書は田崎氏の熱力学同様で、はじめて読むと結構きついです(笑)
しかし、この清水氏の熱力学を読んではじめて「何を要請して、何を得るのか」という考え方が大事で、理論を構築するとはこういうことなのかと考えさせられました。
これを公理的というのですが、「何を前提(基本式)」として考えるかというのは、あまり意識をしていなかったので、めちゃくちゃ熱力学に詳しくなった気分になります(なってない可能性もあります(笑))
「熱力学第一法則ってどうやって導くのか?」と聞かれても、ちょっと答えにくいですよね。
でも、「熱力学第一法則を基本式として仮定」して、導かれる現象に矛盾がなければ熱力学第一法則は正しい!!ってなりませんかね。
しかし、その時に「何を前提とすれば熱力学第一法則が使えるのか?」をめちゃくちゃ考えさせてくれます。
その他、お勧めの3冊(エントロピーとは何かを知りたい人へ)
エントロピー
エントロピーは、物理を勉強していない人でも聞いたことがある言葉であると思います・・・
- エントロピーは無秩序の度合だ
- エントロピー増大則により無秩序な世界になっていく
などいろいろと言われています。
そもそも、エントロピーって「無秩序」の意味なのか?って話になります。
熱力学は原子という概念が導入されるよりも前に確立した学問であるため、粒子の乱雑さを意味するものとしてエントロピーは導入されたものではないはずです。
しかし、後にボルツマンなどが統計力学のなかで「状態の取りうる数」とエントロピーを結び付けて考えたために「状態の取りうる数が多い=無秩序=エントロピーが大きい」という話になりました。
もう一冊エントロピーに関する書籍を紹介しておきます。
☝こちらの本は、著者がエントロピーに取りつかれたんじゃないかというくらい「エントロピーを無秩序の度合」と表現するのを嫌っています(笑)
めちゃくちゃ面白いです。
著者は、
- 熱力学でのエントロピー
- 統計力学でのエントロピー
- 情報理論でのエントロピー
この3つの解釈から「エントロピーの正体」に迫っています!
もう一つエントロピーに関する読み物を紹介しておきます。
こちらはブルーバックスだけあって熱力学という専門的な内容ながら読み物としてとても読みやすいです。熱力学の学問の発展に関与した歴史上の人物の生い立ちや性格まで書かれており、熱力学がどのように発展していったかも含めて詳しく書かれています。この本を読むと「歴史を覆す考え方はなかなか世に受け入れてもらえないんだなー」と痛感します。
亡くなった後に論文を掘り起こして功績が認められるということが多々あるようです。
エントロピーについては当ブログでも記事を書いているためご参考ください_(._.)_
- はじめてでもわかるエントロピーの意味
- エントロピーの意味をわかりやすく解説。不可逆性と取りうる状態の場合の数。
- エントロピーは熱/温度と定義する
- エントロピー増大の法則をわかりやすく解説
- 断熱自由膨張は断熱過程でもエントロピー増大する
まとめ
今回は、以下の2点を評価基準にして、熱力学の参考書を紹介しました。
- 「意味はわからないけど、そういうものか」と、とりあえず熱力学を体験してみる参考書
- 意味を考えながら、且つ何を要請して何を得られるか。熱力学を深く学ぶ参考書
まだまだ、熱力学のおすすめの参考書はありますが、どれがいいかなって迷っている方は「1.2」を意識して自分に合った参考書を選択してみてください(^^)/
追記:こちらもおすすめに追加
届いた。
「攻略チャート」がいいhttps://t.co/xhk7C6WJqt pic.twitter.com/jAuMVIczXr— カマキリ🐲@Django勉強中 (@t_kun_kamakiri) September 12, 2020