前回は、流体力学の基礎方程式の一般系を導きました。
基礎方程式の一般系
\begin{align*}
\int \frac{\partial \Phi}{\partial t} dV=-\int \frac{\partial \big(\Phi v_{j}\big)}{\partial x_{j}}dV+\int a dS+\int b dV\cdot\cdot\cdot (\diamondsuit)\end{align*}
考え方はとてもシンプルで・・・
(A)単位時間当たりの物理量\(\Phi\)の減少量
=
(B)流れによる表面からの出入り
+
(C)表面からの作用
+
(D)検査体積内での発生・消滅、体積力による仕事
と、このように考えれば良いということになります。
と、このように考えて式を立てました!(^^)!
本日は、(\(\diamondsuit\))の式を使って
質量保存則を導きたいと思います(^^)/
質量保存則(連続の式)
\begin{align*}
\frac{\partial \rho}{\partial t}+\frac{\partial (\rho v_{j})}{\partial x_{j}}=0\end{align*}↓∇演算子で慣れている人もいるかもしれませね。
\begin{align*}
\frac{\partial \rho}{\partial t}+\boldsymbol{\nabla}\cdot(\rho\boldsymbol{v})=0\end{align*}
ちなみに、\(\frac{\partial (\rho v_{j})}{\partial x_{j}}=\sum_{i}\frac{\partial (\rho v_{j})}{\partial x_{j}}\)です。
同じ添え字の場合はΣで足すという暗黙の了解(アインシュタインの縮約記法)として表記しています。
(\(\diamondsuit\))の一般系から「質量保存保存則」の導出
\int \frac{\partial \Phi}{\partial t} dV=-\int \frac{\partial \big(\Phi v_{j}\big)}{\partial x_{j}}dV+\int a dS+\int b dV\cdot\cdot\cdot (\diamondsuit)\end{align*}
上記のようないわゆるある物理量\(\Phi\)の輸送方程式を導出したので、そのある物理量を決めれば、その物理量の輸送方程式が導出できるというわけです。
で、今回のある物理量とは「密度:\(\Phi=\rho\)」のことです。
”質量保存”と言っているわけですので、検査体積内の「単位当たりの質量変化=出入りした質量の総和」となります。
ゆえに、(C)と(D)を考慮しなくても良いです。
もし、質量保存を破るような「質量の注入」などがある場合は(D)の効果も式として考慮しなければなりません。
ここでは、\(a=0,b=0\)として
「密度:\(\Phi=\rho\)」とおいて(\(\diamondsuit\))に代入しましょう。
\int \frac{\partial \rho}{\partial t}\ dV=-\int \frac{\partial (\rho v_{j})}{\partial x_{j}}dV\cdot\cdot\cdot (1)\end{align*}
そして、任意の検査体積で(1)式が成立するためには、
\frac{\partial\rho}{dt}=- \frac{\partial (\rho v_{j})}{\partial x_{j}}\end{align*}
⇔左辺にもってきて
\frac{\partial\rho}{dt}+ \frac{\partial (\rho v_{j})}{\partial x_{j}}=0
\cdot\cdot\cdot (2)\end{align*}
このように質量保存則が導けました(^^)/
まとめ
基礎方程式の一般系
\int \frac{\partial \Phi}{\partial t} dV=-\int \frac{\partial \big(\Phi v_{j}\big)}{\partial x_{j}}dV+\int a dS+\int b dV\cdot\cdot\cdot (\diamondsuit)\end{align*}
に\(a=0,b=0\)として「密度:\(\Phi=\rho\)」とおいて(
\(\diamondsuit\))に代入すると、
↓質量保存則が導けました。
\frac{\partial \rho}{\partial t}+ \frac{\partial (\rho v_{j})}{\partial x_{j}}=0
\cdot\cdot\cdot (2)\end{align*}