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流体力学 コーシー応力の意味は圧力と粘性抵抗【図でわかりやすく解説】

2019/02/17
 
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流体力学の基礎方程式のひとつとして運動量保存則があります。

それは、こんな感じ。

運動量保存則

\begin{align*}\frac{\partial \rho v_{i}}{\partial t}+\frac{\partial\rho v_{i}v_{j}}{\partial x_{j}}=\frac{\partial \sigma_{ij}}{\partial x_{j}}+\rho K_{i}\cdot\cdot\cdot (1)\end{align*}

右辺第一項に着目したとき、\(\sigma_{ij}\)は何か?

これは、流体要素間にはたらく応力を意味しています。

この応力をコーシー応力と呼びます。

 

下記のような、流体力学のナビエストークス方程式を見ると、

\begin{align*}\frac{\partial \rho v_{i}}{\partial t}+\frac{\partial\rho v_{i}v_{j}}{\partial x_{j}}=-\frac{\partial p}{\partial x_{i}}+\mu\frac{\partial^2 v_{i}}{\partial x_{j}^2}+\rho K_{i}\cdot\cdot\cdot (2)\end{align*}

このように、右辺に圧力項粘性項がありますよね。

  • 圧力項:\(-\frac{\partial p}{\partial x_{i}}\)
  • 粘性項:\(\mu\frac{\partial^2 v_{i}}{\partial x_{j}^2}\)

コーシー応力は、この圧力と粘性抵抗に関係した応力であります。

 

そこで・・・・

本記事の内容
流体力学での圧力と粘性を図で示す。
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圧力と粘性抵抗

コーシー応力が圧力と粘性抵抗に関係する応力であることを前段で触れましたので、流体における圧力と粘性について図で説明したいと思います。

 

それには下記のような流体領域を考え、流体要素に分割することを考えます。

流体現象をどのように数式で記述しようかと考えた時に、粒子が十分つまっているくらいの要素に細かく分割するのですよね。

これを連続体近似といいます。

https://takun-physics.net/?p=1483

 

圧力

流体要素に分割したときに、たとえ流れがなくても要素間には垂直応力がはたらきます。

これが圧力に値する力です。

※流れがない場合に圧力がはたらくという意味ではなく、流れがあってもなくても要素間は常に圧力を持っていますという意味です。

流体要素間の速度差がない場合にはたらく力が圧力ということです。

粘性抵抗

今度は流れがある状態を考えます。

いま、流体要素間は異なる流速を持っているものとします。

そういった状況下では、流体要素間には流れを均一化しようとする方向にせん断力がはたらきます。

流速が速い部分は遅くなろうとし、流速が遅い部分は速くなろうとします(散逸がなければ・・・)。

これが粘性抵抗に値する力です。

あるいは・・・

要素間の面に対して垂直な方向の異なる流速がある場合にも、流れを均一化させる方向に垂直応力がはたらきます。

これも粘性抵抗に値する力です。

遅い流れがあると「もたもたするな」と隣の要素が引っ張ってくれるとイメージしましょう。

流体要素間の速度差がある場合にはたらく力が粘性抵抗ということです。

 

コーシー応力をまとめると

 

コーシー応力\(\sigma_{ij}\)は次の2つの力に分類できます。

  • 圧力:流体要素間の速度差がない場合にはたらく力
  • 粘性抵抗:流体要素間の速度差がある場合にはたらく力

まとめ

 

運動量保存則

\begin{align*}\frac{\partial \rho v_{i}}{\partial t}+\frac{\partial\rho v_{i}v_{j}}{\partial x_{j}}=\frac{\partial \sigma_{ij}}{\partial x_{j}}+\rho K_{i}\cdot\cdot\cdot (1)\end{align*}

流体力学の運動量保存則の、\(\sigma_{ij}\)(コーシー応力)について説明しました。

別の記事で、コーシー応力\(\sigma_{ij}\)の具体的な形を導出したいと思います。

 

流体力学の基本的な変数は、「流速\(\boldsymbol{v}\)、圧力\(p\)、温度\(T\)、密度\(\rho\)」だから、\(\sigma_{ij}\)(コーシー応力)もこれらの基本的な変数で記述することが目標になります。

ただ、式で導出しようと思うとその過程は結構煩雑になるので頑張って導出してみてください。

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Comment

  1. yuki より:

    とても興味深いです。
    私の専門は特殊で、大学に通っていたにも関わらず、流体力学や解析力学といった分野の講義を受けたことはありません。というより、そんな講義はありませんでした。

    強いて言うなら、材料力学が専門になります。より広義に言うと、粘弾塑性力学を取り扱っています。そして、もちろん有限要素法のような計算力学も専門になります。

    弾性力学において、微小変形を仮定した場合にコーシーの応力が記述されます。力の釣り合いから、平衡方程式を導けます。

    コーシーの応力は、3×3の行列の形で表されます。主軸方向は主応力と言われ、静水圧等を加味したりする際に重要になります。また、構造解析においては、ミーゼスやヒルの降伏関数を用いた相当応力が得られます。

    この時、主応力はまさしく圧力に関する部分であり、その他の値はせん断応力、すなわち流体力学におけるずり応力となると思います。

    流体力学には触れてきませんでしたが、連続体学の一種として、お互い深い関係があることが明白になる記事だったと思います。

    1つだけ質問です。
    流体力学に関しては、本当に何も知らないので教えていただきたいのですが、弾塑性力学において、少しの荷重で大きく変形する材料、すなわち小さな応力で大きなひずみが生じる材料があります。この材料の挙動は、大変形あるいは有限変形と呼ばれます。

    流体力学では流体を連続体とみなしていると思うのですが、液体は少しの圧力で大きく形を変えます。流体力学において大変形の理論を用いることはないのでしょうか?

    有限変形の例)
    パオラーキルヒホッフ応力
    アルマンシーのひずみ

    よろしくお願いします。

    ありがとうございました。

    • korokoro より:

      お読みいただきましてありがとうございます。

      また、非常に興味深く、難しい質問ですね。

      確かに、流体自体がコーシー応力から入っていますよね。

      そこから、
      法線応力が歪み速度の1次近似で現象を再現できるもの→ニュートン流体(ナビエストークス方程式)
      法線応力が歪み速度の1次以上で現象を再現できるもの→非ニュートン流体
      というのは、あります。

      しかし、大変形を考えているのはあまり見たことないです。
      というかそのような記述を書いているものを見たことないです。

      なぜかは僕も理解していません・・・

      少し考えさせてください。
      ・「なぜ大変形で記述する必要がないのか?」
      ・「大変形で記述する必要がある現象はあるのか?」
      ここが論点でしょうか。

      とても興味深い問いですね。

      僕自身が、弾塑性力学とか大変形の理論をちょいかじりなので比較して考察するにも知識が足りなすぎるため勉強させてください。

      ちなみに解析力学は理学部しか習わないと思います。
      また、流体力学を理学としての研究はやり尽くされている感があって、理学部の授業ではあまりやられません。
      なので、材料力学を突き詰めた粘弾塑性力学はかなり専門性が高い知識ですので羨ましいです。

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