Python

【第12回Python流体の数値計算】2次元拡散方程式をGoogle Colabでアニメーション作成する。

こんにちは(@t_kun_kamakiri)。

前回の記事では、「2次元の移流方程式」をGoogle Colabでアニメーション作成を行いました。

前回の記事はこちら

 

今回は、以下のような2次元の拡散方程式をPythonで実装します。

今日作成する動画は以下のような感じになります。

1次元の拡散方程式については、以前の記事でも書きましたが今回はその2次元バージョンというわけです。
カマキリ

今日もゆる~く学びます(^^)/

本件の基本的な内容はこちらのサイトにそってやっていきます。

この記事ではこんな人を対象にしています。

こんな方を対象
  • Pythonを使い始めたけどどう使うかわからない
  • 流体の数値計算をはじめて勉強する人

本記事シリーズの最終目標は、ナビエストークス方程式をPythonで実装することですが、いきなりナビエストークス方程式を実装するのは難しいので各項の意味を確認しながら進めていきたいと思います。

今回の内容はこちら

 

  • 2次元の拡散方程式の数値計算
  • 2次元のアニメーション作成
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2次元の拡散方程式

 

まずは、解くべき方程式の確認を行いましょう。

\begin{align*}
\frac{\partial u}{\partial t} = \nu \frac{\partial ^2 u}{\partial x^2} + \nu \frac{\partial ^2 u}{\partial y^2}\\
\frac{\partial v}{\partial t} = \nu \frac{\partial ^2 v}{\partial x^2} + \nu \frac{\partial ^2 v}{\partial y^2}\tag{1}
\end{align*}

これを数値計算できるように空間微分に対して2次精度の中心差分を施して以下のように離散化します。

\begin{align*}
\frac{u_{i,j}^{n+1} – u_{i,j}^n}{\Delta t} = \nu \frac{u_{i+1,j}^n – 2 u_{i,j}^n + u_{i-1,j}^n}{\Delta x^2} + \nu \frac{u_{i,j+1}^n-2 u_{i,j}^n + u_{i,j-1}^n}{\Delta y^2}\\
\frac{v_{i,j}^{n+1} – v_{i,j}^n}{\Delta t} = \nu \frac{v_{i+1,j}^n – 2 v_{i,j}^n + v_{i-1,j}^n}{\Delta x^2} + \nu \frac{v_{i,j+1}^n-2 v_{i,j}^n + v_{i,j-1}^n}{\Delta y^2}\tag{2}
\end{align*}

空間微分に対しては、数値計算の安定性のために後退差分で行います。

今、ほしい情報はn+1ステップでの\(u^{n+1}\)や\(v^{n+1}\)の値ですので、式変形して、

\begin{align*}
u_{i,j}^{n+1} = u_{i,j}^n &+ \frac{\nu \Delta t}{\Delta x^2}(u_{i+1,j}^n – 2 u_{i,j}^n + u_{i-1,j}^n) \\
&+ \frac{\nu \Delta t}{\Delta y^2}(u_{i,j+1}^n-2 u_{i,j}^n + u_{i,j-1}^n)
\\
v_{i,j}^{n+1} = v_{i,j}^n &+ \frac{\nu \Delta t}{\Delta x^2}(v_{i+1,j}^n – 2 v_{i,j}^n + v_{i-1,j}^n) \\
&+ \frac{\nu \Delta t}{\Delta y^2}(v_{i,j+1}^n-2 v_{i,j}^n + v_{i,j-1}^n)\tag{3}
\end{align*}
上記のような偏微分方程式の場合は、時々刻々と変化する物理量(今の場合は流速)に対して解くので初期状態を設定しないと解くための種がありません。
というわけで、初期状態を設定します。

初期状態の設定

 

初期状態を以下のようにします。

\begin{align*}
u,\ v\ = \begin{cases}\begin{matrix}
2 & \text{for } x,y \in (0.5, 1)\times(0.5,1) \cr
1 & \text{それ以外}
\end{matrix}\end{cases}\tag{4}
\end{align*}

さらに、数値計算は有限の大きさに対して解くので計算領域の端に対して数値を設けないと問題を解くことができません。

なので、以下のように境界条件を設定します。

境界条件の設定

 

境界条件を以下のようにします。

\begin{align*}
u = 1,\ v = 1 \text{ for } \begin{cases} \begin{matrix}x=0,2\cr y=0,2 \end{matrix}\end{cases}
\end{align*}

では、Pythonを使って2次元の移流方程式を解いてみましょう。
Pythonの使用環境はGoogle Colabとします。

2次元の拡散方程式をPythonで実装する

 

まずは必要なライブラリをインポートします。

 

次に、「条件設定」と「初期状態設定」を行います。

 

では、初期状態のプロファイルを確認してみましょう!
Matplotlibを使って可視化してみます。

【結果】

初期状態はこのようになっています。

では、次にスライスを使って(3)式の偏微分方程式の離散化を数値計算で求めましょう。

  • 計算時間短縮のためvについては解いていません。
  • メイン部分は関数にまとめておくことにします。
    そうすることでntを引数に入れることでほしい時間帯(正確にはステップ数)でのuのプロファイルを可視化することができます
  • こちらの記事で扱ったようにスライスを使っています。

では、「nt=10(ステップ数が10)」の場合のuのプロファイルを見てみましょう!

【結果】

では、「nt=30(ステップ数が30)」の場合のuのプロファイルは?

こんな感じで拡散しているのがわかりますね(^^♪

どうせならアニメーションにしたい

 

先ほどのように静止画でuのプロファイルを見るよりも、やっぱりアニメーションにしたいですよね。

アニメーションの作成には以下の2つあります。

今回は、「matplotlib.animation.FuncAnimation」と使ってアニメーションを作成しています。

カマキリ

以下がPythonのコードです!

※計算時間短縮のために、\(y\)方向の速度\(v\)については解かないようにしています。

【結果】

じゃっかん残像を残しながらアニメーションが進みますが・・・・アニメーションは完成です。

 

まとめ

 

今回は、2次元の拡散方程式をPythonで実装してアニメーション作成を行いました。

前回の記事の内容とあまり変わらず復習程度のないようになりましたが、本記事のシリーズを読むことでPythonを使ったナビエストークス方程式の実装まではいけると思いますので、是非最後までお付き合いくださいm(__)m

 

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